| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-255  (Poster presentation)

UAVによるマガンのカウントに適した撮影時間の検討

*鈴木透(酪農学園大学), 牛山克巳(宮島沼水鳥・湿地C), 山田浩之(北海道大学)

数万羽飛来するマガンを正確にカウントし、モニタリング調査の省力化を図るため、近年UAVを用いてマガンのカウント手法が検討されている。マガンのカウントはねぐら立ち前の朝方、もしくはねぐら入り後の夕方に実施されるが、完全にねぐら立ちに影響を与えない時間帯、もしくは完全にねぐら入りを完了した時間帯は非常に暗い。このような暗い環境下ではUAVによる撮影が困難であり、撮影できても判読に適さない画像であるなど安定した撮影結果が得られない。そのため、UAVによるマガンのカウントを実施するには、マガンの総数を高い精度でカウントでき、かつUAVから良い画像を安定して得られる時間帯を検討する必要がある。そこで本研究では、マガンのねぐら入りの動態とUAVによるマガンの撮影の可否、照度との関係から、UAVによるマガンのカウントに適した時間帯を検討することを目的とした。調査は北海道宮島沼に飛来するマガンを対象とした。今回はマガンのねぐら入りを対象とし、マガンのねぐら入りした時間と個体数を記録した。UAVによるマガンの撮影は日の入り後から日暮に実施した。マガンのねぐら入りの動態とUAVによるマガンの撮影の可否、照度との関係はそれぞれGLMを用いて分析した。マガンのねぐら入りの動態と照度との関係を分析した結果、照度が約4.85lxとなるまでに全体の約95%の個体がねぐら入りしていると推定された。また、UAVにより撮影の可否と照度との関係を分析した結果、判読が容易な画像を取得するためには約0.81lxとなる前まで、判読可能な画像を取得するためには約0.21lxとなる前までに撮影を完了される必要があると推定された。照度が約4.85lx、約0.81lx、約0.21lxとなるのはそれぞれ日の入から約17分後、約32分後、約40分後であることから、UAVを用いてマガンをカウントするには日の入から20分後から30分後にかけて撮影することが適していると考えられた。


日本生態学会