| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-272  (Poster presentation)

歴史の長いゴルフ場に生育する植物の出現頻度とその特徴

*松村俊和(甲南女子大学), 橋本佳延(兵庫県博), 澤田佳宏(兵庫県立大, 淡路景観園芸学校)

[背景] 半自然草原は,草原生植物の生育地として重要である.しかし,開発や放棄後の遷移によって面積が減少し,多様性は低下している.ゴルフ場やスキー場など商業的に維持される草原において,管理方法を工夫すれば草原生植物の逃避場所や種子供給源として機能する可能性がある.歴史の長いスキー場では原地形や原植生が残り絶滅危惧植物を含む草原生植物の生育しており,歴史の長いゴルフ場でもこれと同様の可能性が高いと考えられる.
[目的] 本研究では,歴史の長いゴルフ場に成立する草原における草原生植物の出現頻度や出現の仕方を明らかにすることで,保全や再生への可能性を明らかにすることを目的とする.
[方法] 1900-1950年代に開設された兵庫県南部にある5つのゴルフ場で2015-2016年に現地調査を行った.調査対象は,刈り取りが低頻度で地上から比較的高い位置で行われているラフやOBとした.各ゴルフ場に1m×1mの調査枠(プロット)を50地点設置して,枠内に出現する維管束植物を記録した.さらに,調査枠を9つの副調査枠(サブプロット)に区切り,それぞれでの出現の有無を記録した.調査枠レベルおよび副調査枠レベルで草原生植物の出現の仕方の組み合わせとして,類似度指数および一致係数を算出した.
[結果] 調査枠レベルで出現頻度が高かった草原生植物は,シバ,ネザサ,ヒメヤブラン,トダシバなどであった.副調査枠レベルで出現の仕方が一致していた組み合わせは「ウツボグサ・コマツナギ」「アキノキリンソウ・リンドウ」「アキノキリンソウ・ヒメヤブラン」「シバ・シバスゲ」「スズメノヒエ・ヒメハギ」「コナスビ・リンドウ」であった.一方,副調査枠レベルでは出現の仕方が異なる組み合わせは,「ウツボグサ・ヨモギ」「ウツボグサ・ススキ」「アキノタムラソウ・ススキ」「コマツナギ・リンドウ」などであった.


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