| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(ポスター発表) P3-017  (Poster presentation)

撹乱地に分布するセンダンとニワウルシの伐採後の現存量変化

*山瀬敬太郎, 高山勉(兵庫農技総セ)

センダンMelia azedarachは、本州(伊豆半島以西)・四国・九州・沖縄の海岸近くに生育し、本州では公園などに植栽されている。早生樹種であり、短期間で大径木が得られる可能性があることから、次世代の植栽樹種として、近年注目されている。一方、センダンは河川敷や道路敷などの撹乱地で野生化しており、センダン植栽が今後普及した場合、植栽地からの逸出によってその分布拡大が懸念される。分布拡大地において望ましい植生でない場合、センダンは駆除対象となる。そこで本研究では、河川敷に分布拡大したセンダンに着目し、駆除を目的とした伐採の前後の現存量を比較し、その影響・効果を明らかにすることを試みた。
調査地は、兵庫県養父市八鹿町伊佐地区の円山川河川敷であり、兵庫県では生物多様性への影響がある種に指定されているニワウルシAilanthus altissimaと混生して、センダンが生育する樹林である。樹林内に5×20 m2の調査区を3ヵ所設定し、樹高1.3 m以上のすべての幹を対象に、種名と胸高直径(D)、樹高(H)、同一株、生死の別を記録した。なお、樹林は河川管理者によって2017年4月下旬に伐採されたため、調査は、伐採前の4月27日と伐採約6ヵ月後の10月18日に実施した。
調査区ごとにみた伐採前の個体数に対する伐採後の再生率は、センダンが96.4-133.3 %、ニワウルシが26.5-66.7 %、伐採前のD2H量(1幹当り)はニワウルシ>センダンであったのに対し、伐採後はセンダン>ニワウルシであった(Mann-Whitney U test、p<0.001)。
以上のことから、伐採前の個体数及びD2H量に対する伐採後の再生量は、ニワウルシよりもセンダンが上回る傾向がみられ、伐採によってセンダンが優占しやすくなる可能性が示唆された。


日本生態学会