| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(ポスター発表) P3-061  (Poster presentation)

自然条件におけるハクサンハタザオの遺伝子発現の日周変化とその季節変化

*村中智明(京都大・生態研), 本庄三恵(京都大・生態研), 川越哲博(京都大・生態研), 永野惇(龍谷大・農学), 工藤洋(京都大・生態研)

植物は自ら移動する能力がなく、生育環境の変化から逃れることが出来ない。そのため、環境変動を処理し、適切に応答する能力を進化させてきた。様々な環境変動の中で、地球の自転に起因する昼夜変動、公転に起因する季節変動は周期性を持つため予想が可能である。実際、植物はタイマー機構を体内に獲得することで環境変動を予想し、適切に応答している。近年の研究から、昼夜タイマーは概日時計による遺伝子のリズミックな発現、季節タイマーはヒストン修飾などによるエピゲノム状態変化による長期記憶を分子的な基盤とすることが明らかとされてきた。所属研究室では、兵庫県に自生するアブラナ科草本ハクサンハタザオを対象とした隔週調査で、自然条件における開花期などの生理現象・RNA-seqによる遺伝子発現変動・ChIP-seqによるエピゲノム状態変化を長期的にモニタリングしている。これに加え昨年8月からは、遺伝子発現の日内変化を捕捉するために2日間のトランスクリプトーム時系列データ(2時間毎)を1.5ヶ月毎に取得している。現在は以前に取得した春分・夏至・秋分・冬至のデータで予備的な解析を進めており、日周リズムを示す遺伝子を約3000同定した。これらの遺伝子はその多くで冬にリズムが停止し、発現が高止まりする傾向がみられた。さらに春夏秋と季節を通じて頑健にリズムを示す178遺伝子を抽出し発現パターンを解析したところ、日長依存的に発現のピーク時刻が変化することも見出した。このような遺伝子発現の日周変化の季節依存的な変化は、植物の日々の生活を理解する上で重要であり、本発表ではその意義と分子機構を議論したい。


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