| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(ポスター発表) P3-135  (Poster presentation)

都市化により植物群集の繁殖成功は低下するのか?ー開花量減少と送粉者相変化の影響ー

*平岩将良, 清水健将, 丑丸敦史(神戸大・人間発達環境)

近年、都市化による送粉者の多様性減少が報告されてきた。送粉者多様性の減少は、個々の植物への訪花頻度の減少や送粉者相(送粉者の機能形質)の変化を介して、植物群集の繁殖成功を低下させうる。しかし、都市化が送粉者―植物相互作用をどのように変化させ、植物群集の繁殖成功に影響するのかは未解明の課題である。そこで本研究では、阪神地区の水田畦畔の植物群集を対象に、都市化が送粉者の量や質の変化を介して植物群集の繁殖成功に与える影響の検証を行った。
本研究では阪神地区に都市部から田舎にかけて、15地点の調査地を設定し、開花植物に訪花した昆虫の種名・個体数、訪花した植物種を記録した。また、植物の繁殖(送粉)成功の指標として、優占種の雌蕊を採取し柱頭付着花粉数の計数を行った。これらのデータを用いて、都市化により、① 送粉者・植物種数やアバンダンスは減少するのか?② 個々の植物に訪花した送粉者の訪花頻度と機能形質がどのように変化するのか?③ ①②の変化を介して植物群集の繁殖成功は低下するのか?検証を行った。
前回大会の発表では、都市化に伴い送粉者および植物の種数、アバンダンス(個体数または開花量)が減少すること、またそれに伴い、送粉者の訪花頻度が減少し、訪花する送粉者の形質(口吻長の組成)が変化することなどを報告した。今回の発表では、送粉者相の量的・質的変化が柱頭付着花粉数に与える影響について解析することで、都市化が植物群集の繁殖成功に与える影響について評価を行う。


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