| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(ポスター発表) P3-168  (Poster presentation)

埼玉県の汽水域において集魚灯で確認された魚類について

*金澤光(埼玉県環境科学国際セ)

目的 埼玉県の荒川と中川の汽水域で集魚灯を使った夜間の魚類出現調査を行った。
調査方法 日没後の新月、満月の満潮時刻の約1時間前に河川の下流に向けてLDE集魚灯を設置し、満潮までに出現した魚類を目視とビデオ、水中ビデオで確認した。
結果及び考察  期間は2016年12月~2018年2月末まで、毎月1回以上行い、荒川では40日間、中川では14日間行った。集魚灯で確認された魚類は、ウナギ科ニホンウナギ、サヨリ科クルメサヨリ、ボラ科ボラ、アユ科アユ、キュウリウオ科ワカサギ、ハゼ科ウキゴリ、ヌマチチブ、コイ科オイカワ、ギンブナ、タイリクバラタナゴの7科10種であった。
 このうち、ウナギ科ニホンウナギは、稚魚であるシラスウナギが集魚灯で確認された。荒川では、1月から4月に遡上が確認され、体色は透明から半透明な個体で映像から判断した大きさは全長6㎝前後であった。荒川における2017年1月~4月の平均CPUEは0.27尾/人/hであった(シラスウナギは採集していないので目視とビデオカメラ、水中ビデオ映像の確認尾数から算出した)。中川では5月に1個体が確認された。
 サヨリ科クルメサヨリは、荒川では成魚は4月から5月までと10月に確認された。集魚灯の照明範囲で確認されることは希で、その周辺を回遊する様子が観察された。稚魚は6月から7月までと10月に確認され、集魚灯の照明範囲内で表層を遊泳する様子が観察された。荒川における2017年6月~7月の平均CPUEは10.5尾/人/hであった(目視、ビデオから確認尾数を算出した)。クルメサヨリは、環境省のレッドリスト(2015)では準絶滅危惧(NT)となっているが、これまでに生息を確認できる有効な漁具・漁法はなかっことから希少種になっている可能性がある。これらのことからクルメサヨリの生息を確認するには、稚魚期に集魚灯を用いる夜間調査は有効な方法であると考えられる。


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