| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(ポスター発表) P3-212  (Poster presentation)

密度依存の偏りが被食者-捕食者間の相利を形成する

*笠井敦(静岡大・農・応用昆虫)

植物-植食者2種-捕食者からなる被食-捕食相互作用系の固有空間解析をおこなった.捕食者密度効果がある場合,効果が時計回りに及ぶ影響と反時計回りに及ぶ影響との非対称性が10倍程度大きいと安定条件下で相利が形成されやすく,40倍程度大きいと不安定条件となり,植物により被害をもたらす植食者のみを排除する排他的構造を形成した.しかしこれらの傾向は不完全で,非対称性の程度のみでは説明できなかった.これらの結果は,捕食による被害の程度が系の中の種間で大きく異なる場合,相利関係が構築される可能性が高いことを示している.また,排他的構造に至っては,排除された結果不在となった種を含めて群集構造を解析しないと,本来の相互作用の意味を理解できないことが判明した.


日本生態学会