| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(ポスター発表) P3-215  (Poster presentation)

因果推論に基づいた数理モデル構築:太平洋クロマグロの加入量予測モデルを例として

*中山新一朗(国際水産資源研究所)

数理モデルは現象を理解・予測するのに便利なツールである。生態学者はしばしば手持ちのデータをもとに数理モデルを構築する必要に迫られる。しかしながら、複数の要因が複雑に絡み合った生態系において、手持ちのデータをもとに数理モデルを構築するのはしばしば困難である。本発表では、複雑な系から得られたデータを元にモデリングを行う際の一つのアプローチとして、因果推論に基づいた方法を提案する。この方法では 近年開発された非線形時系列解析法を用いて応答変数に影響している要因を洗い出し、それらの要因がどのように影響しているかを突き止め、 得られた情報をもとにモデルの構造を決定する。
応用として本アプローチを太平洋クロマグロの加入量予測モデル構築に適用した例を紹介する。上記の解析によって、太平洋クロマグロの加入量は特定の年齢群の親魚量に影響されること、親魚量に対して密度効果を示すこと、環境の影響を受けること、が示された。これらの情報をもとに構築した予測モデルは、現在資源評価で用いられているモデルの性能を上回った。


日本生態学会