| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(ポスター発表) P3-262  (Poster presentation)

ニホンイシガメはアライグマに襲われやすい

*多田哲子(京都府保健環境研究所), 坂雅宏(京都府保健環境研究所), 西堀智子(和亀保護の会)

京都府南部に位置するため池群において、2015~2016年に餌付き捕獲わなを用いて淡水ガメの捕獲調査を行ったところ、前後肢に欠損が見られる個体が頻繁に観察された。調査地周辺をアライグマが徘徊していること(足跡と近隣農家による目撃情報)、千葉県などでアライグマによる淡水ガメの捕食事例があること、同調査地において、アライグマによる農業被害が報告される以前の1990年代に京都大学が行った同様の調査では、前後肢に欠損が見られる個体がほとんど観察されていないことから、これらの前後肢の欠損は、アライグマの攻撃により生じたと推測された。ニホンイシガメ、クサガメ、ミシシッピアカミミガメにおける前後肢の欠損個体割合はそれぞれ27%、13%、0%であり、ニホンイシガメの欠損個体割合が有意に高く、本種がアライグマに襲われやすいことが示唆された。また、ニホンイシガメにおける欠損部位はほとんど前肢に集中している一方で、クサガメにおける欠損部位は後肢に集中していた。前後肢の欠損個体割合における種間差は、生活様式の違いにより、夜行性で陸上生活者のアライグマとの遭遇頻度が種間で大きく異なることに起因していると考えられた。ニホンイシガメとクサガメで欠損部位が異なるのは、捕食者に対する防御行動に違いがあるのかもしれない。日本では、成長した淡水ガメの捕食者は存在していなかったことから、日本固有種のニホンイシガメはアライグマに対して無防備なのであろう。一方、原産地の北米において、アライグマはミシシッピアカミミガメの陸上捕食者であることから、ミシシッピアカミミガメは、陸上捕食者の攻撃を逃れる習性を獲得しているのだろう。この調査地では、ニホンイシガメが激減しているが、その主たる要因は、アライグマによる捕食かもしれない。


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