| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


シンポジウム S03-3  (Presentation in Symposium)

オジロワシの センシティビティマップ の可能性と課題 ー環境アセスメントにおける利用を目指してー

*河口洋一(徳島大学), 藪原佑樹(徳島大学), 赤坂卓美(帯広畜産大), 山田芳樹((株)ドーコン), 中川元(オジロワシ一斉調査G)

今回の発表では、北海道の道北地方を対象に作成した3枚の地図について説明し、それらを重ね合わせた地図(オジロワシのセンシティビティマップ)を紹介する。1つめの地図は、オジロワシの営巣適地図で、約60の営巣情報とGIS上で抽出した環境パラメーターを用いてMaxentで解析を行い、地図化したものである。2つめの地図はオジロワシの風車事故が多い冬季に注目し、居付きのオジロワシと渡りのオジロワシが混在する、冬季におけるオジロワシの潜在的な生息域を推定した地図である。これらオジロワシの分布データは、オジロワシ・オオワシ一斉調査グループによる冬季の観察結果を基にしている。3つめの地図は、昨年、道北地方で巣立ったオジロワシ幼鳥6個体に取り付けたGPS発信器による位置情報(1時間に1回、1日13回測位)を基に、秋季、オジロワシが高頻度に利用する場所を推定し、その地図化を行った。さらに、GPS情報から風車ブレードの高さ(Mゾーン)を飛翔する位置情報を選び、その時の風況を高解像度で再現したデータから、Mゾーンにおけるオジロワシの飛翔モデルを作成した。オジロワシが高頻度に利用する地図に加え、その地域の風況情報からMゾーンの飛翔確率を地図に示す。
 これらの3枚の地図を重ね合わせた1枚の地図をオジロワシのセンシティビティマップとして提案し、環境アセスメントの配慮書における利用や、可能性、課題について議論したいと考えている。


日本生態学会