| 要旨トップ | ESJ65 企画集会 一覧 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


企画集会 T03  3月15日 9:00-11:00 E会場

構成的アプローチによる行動進化の仮説検証

水元 惟暁(京都大・農),鈴木 俊貴(京都大・生態研)

動物は周囲の環境に適応し、非常に巧みな行動形質を獲得してきた。なかでも、信号を組み合わせた情報コミュニケーションや、多数の個体が協力する生物の集団行動などは、複数の要素が組み合わされることで初めて機能するという性質を持つ。では、これら複雑な行動形質はどのような認知機構によって制御され、どのような進化プロセスを経て獲得されたのだろうか?このような、直感的に分析対象を絞ることが困難な複雑系を理解する上では、「構成的アプローチ(constructive approach)」が有用である。これは、現象に必要と思われる要素を抽出あるいは作成し、実際にシステムを作って動かしてみることで、よりよく理解しようとする手法である。本集会では、この構成的アプローチを用いて、行動の認知機構や進化プロセスに関する仮説を生成、検証した研究成果を紹介する。これらの研究では、行動現象から要素を抽出し、それらに変化を加えたうえで、計算機・対象動物・ロボットを用いて実際に動作させてみることで、複雑系を再現する試みを行っている。演者らによる様々な研究例を通じて、構成的アプローチが生態学や進化学において、どのように貢献できるか議論したい。

[T03-1] 複雑な形質のマクロ進化プロセス: 多要素構造、系統比較法、進化順序推定 鈴木誉保(農研機構)

[T03-2] シジュウカラの文法能力:人工音列の作成による構成的理解 鈴木俊貴(京都大・生態研)

[T03-3] 建設アルゴリズムから臨むシロアリの構造物の進化プロセス 水元惟暁(京都大・農)

[T03-4] 神は細部に宿る: フェロモンを用いたロボット群の採餌効率を左右する行動規則 土畑重人(京都大・農)


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