| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


企画集会 T13-2  (Presentation in Organized Session)

景観維持は駆動因になりうるか?-世界農業遺産認定における茶草場の農業生物多様性評価から

*楠本良延(農研機構・農業環境セ), 稲垣栄洋(静岡大学)

里地里山で育まれる二次的自然の生物多様性は、農業生産という営みにより副次的に維持されている。一口に農業生産といっても多種多様であり、それぞれが農業生物多様性に与える影響も多様性に富む。また、社会情勢の変化とともに農業生産形態も変化していく。当然ながら時代とともに農村の生物多様性を維持していく駆動因も常に変化している。
そのような中、我々はこれまで里地里山における生物群集や生態系の構造や機能に着目し、その成立・維持機構を解明する研究を基軸としてきた。また、持続的な農業の発展とそれにより育まれる生物多様性の保全の両立を目指しながら、それらを結びつける駆動因の評価も試みてきた。
本企画集会では、農村の生物多様性維持の駆動因として有効であると考えられる世界農業遺産(Globally Important Agricultural Heritage Systems: GIAHS)などの景観維持が生物多様性保全の駆動因として果たす役割について議論したい。現在、わが国には9つの世界農業遺産の認定地が存在する(平成29年12月時点)。各地域では世界農業遺産ブランドを活用した農業振興や生物多様性保全が試みられている。生物多様性保全上、特徴的な取組みを実施している地域を取り上げる。そして、農業生産と生物多様性の両立を果たしている「静岡の茶草場農法」などの景観維持が駆動因としての機能している事例を中心に紹介したい。


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