| 要旨トップ | ESJ65 自由集会 一覧 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


自由集会 W28  3月17日 18:00-20:00 J会場

間接効果を通して見る世界:(1)間接効果の「ごりやく」

大串隆之(京都大)

「間接効果(indirect effect)」は、ありとあらゆる生態システムにおいて主役を演じている。間接効果のポイントは、それによって2者の関係が一変すること、さらにその効果が時空を超えることだ。栄養カスケード(trophic cascade)や見かけの競争(apparent competition)は、生物群集や食物網を語る上で今や避けては通れないキーワードになった。一方、種内の個体間関係でも間接効果はキープレイヤーだ。たとえば、包括適応度(inclusive fitness)の考え方は遺伝的な間接効果そのものだ。また、現在、台頭しつつある生態進化ダイナミクス(eco-evolutionary dynamics)の発展に、間接効果の考え方は欠かせない。さらに、社会科学、経済学、文化人類学の分野でも注目されている。このように、生態学の枠を超えて幅広い分野で今ホットな話題になっている、それが「間接効果」なのだ。
 間接効果の重要性をいち早く理解した欧米では、それを軸にして生態学の新たな潮流が作られつつある。これに対して、日本ではいまだ間接効果の研究者が少ない。それは、間接効果の「ごりやく」を十分に享受したことがないからだろう。日本の生態学が世界の激流に飲み込まれ溺死しないように、サーファーよろしくその大波を捕らえて中天に舞い上がろうではないか。それには、個々の研究者が「間接効果」という考え方に出会う機会が必要で、それがこの自由集会「間接効果を通して見る世界」なのである。

 「間接効果」という窓からどんな新しい世界が広がっているのだろう?

[W28-1] 間接効果ってなんだ? 大串隆之(京大•生態研)

[W28-2] 気がつけば 間接効果:両生類幼生の相互作用研究 岸田治(北大•FSC)

[W28-3] つながりの生態学:間接効果研究のご利益にあずかって? 佐藤拓哉(神戸大院•理)

[W28-4] 大串流間接効果と格闘して分かったこと 内海俊介(北大•FSC)


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