| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(口頭発表) F02-02  (Oral presentation)

人口減少時代における気候変動適応としての生態系を活用した防災減災の評価と社会実装
Research and social implementation of ecosystem-based disaster risk reduction (Eco-DRR) as climate change adaptation in shrinking societies

*吉田丈人(総合地球環境学研究所, 東京大学)
*Takehito YOSHIDA(RIHN, University of Tokyo)

気候変動がもたらす影響のうち、洪水・土砂災害・高潮などの自然災害に注目し、自然災害リスクへの賢い適応を地域社会に実現すべく研究を進めている。日本の多くの地域社会には人口減少の問題があるが、人口減少は土地利用のあり方を見直す好機でもある。多様な生態系サービスを活用しながら賢く防災減災することは、地域社会の持続可能性に重要である。このような生態系を活用した防災減災の手法(Eco-DRR)について、その多面的な機能を評価するとともに、地域社会にEco-DRRを実装することが研究目的である。具体的な研究内容は以下の3点である。1)自然災害リスクの可視化:自然災害による潜在的な社会経済リスクを評価しリスク情報地図として可視化する。また、過去の土地利用変化と自然災害リスクとの関係を明らかにする。さらに、Eco-DRRを活用した場合の土地利用シナリオを検討し、自然災害リスクの予測評価を行う。2)Eco-DRR多機能性の評価:さまざまな生態系サービスと人口分布や土地利用との関連を分析したうえで、過去の土地利用変化がEco-DRRの多機能性にどう影響したかを明らかにする。また、Eco-DRRを活用した場合の土地利用シナリオで、生態系サービスの観点からEco-DRRの多機能性を予測評価する。3)超学際アプローチと社会・経済的インセンティブの開発:地域社会の多様な関係者と協働し、Eco-DRRを地域社会に実装するための研究を行う。その際、防災減災や自然資源利用についての伝統的な知識や地域独特の知識を活用する方策を探る。また、Eco-DRRの積極的な利用を進める社会的および経済的なインセンティブや法制度のあり方を検討するため、産学官民の多様な関係者との連携を進める。


日本生態学会