| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(口頭発表) J01-05  (Oral presentation)

温度および明暗処理が数種草原性植物の発芽休眠特性に及ぼす影響
Influences of temperature and light on seed dormancy and germination of several grassland species

*山田晋(東京農業大学, 東京大学), 根本正之(東京大学)
*Susumu YAMADA(Tokyo Univ. Agriculture, Univ. Tokyo), Masayuki Nemoto(Univ. Tokyo)

植生復元事業において,発芽特性を把握することは,効率的な植生復元を図る上で重要な考慮事項の一つである。本研究では,半自然草地を選好して生育するススキ,ワレモコウ,ユウガギク,トダシバ,ノハラアザミ,オミナエシ,リンドウ,シラヤマギクなど20種の多年草について,発芽に際した光要求性,変温要求性,低温湿層処理要求性の有無を解明するため発芽試験を実施した。
野生個体から得た種子を紙袋に入れ,1ヶ月程度,気温とほぼ同様に温度が推移する室内に保管した。その後,湿らせたシャーレにて6週間5℃で保管した低温湿層条件と同温の乾燥条件,温度処理として25℃定温条件と,25℃/10℃を12時間ずつ繰り返す変温条件,光条件として,12時間ごとの昼夜条件と,暗条件を設けた。試験は25粒を1シャーレに入れたものを単位とし,貯蔵2処理×温度2処理×光2処理の計3要因8処理について,各処理3反復で実施した。
ススキ,アブラススキ,ワレモコウはいずれの処理においても最終発芽率が50%以上と良好であり,カワラナデシコも類似した傾向を示した。他の多くの種については,低温湿層条件,変温条件,昼夜条件でそれぞれ発芽率が向上した。一方,ツリガネニンジン,ノハラアザミの発芽率は光の有無には左右されず,オカトラノオ,チチコグサの発芽率は低温湿層処理に左右されなかった。また,オトコヨモギ,リンドウ,メガルカヤの発芽率は変温条件に左右されなかった。チチコグサは,暗条件においては発芽が確認されなかった。ツリガネニンジン,センブリ,メガルカヤは低温湿層処理なしに発芽はほとんど確認されなかった。オカトラノオは定温ではほとんど発芽しなかった。


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