| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-266  (Poster presentation)

囚人のジレンマゲームによる生存戦略解析
Survival strategy analysis by Prisoner's Dilemma

*原田凌太, 中桐斉之(兵庫県立大学)
*Ryota HARADA, Nariyuki Nakagiri(University of Hyogo)

社会において、解決策の見つからないジレンマが発生することは多々ある。これを簡単なゲームに置き換え、説明しやすくしたものが囚人のジレンマゲームである。囚人のジレンマゲームは、2人のプレイヤーが協調か裏切りを選択し、その組み合わせによって互いの得点を決定する。これを複数回行い、総合得点で勝敗を決定するゲームを繰り返し囚人のジレンマゲームと呼ぶ。プレイヤーが協調か裏切りを選択する際に自身の選択が正しく相手に伝わらない、ノイズが一定確率で発生するものとすると、これまでの研究では、しっぺ返し戦略(TFT)およびパブロフ戦略(PAV)が勝利することがわかっている。これらは、裏切られたら裏切り返す報復戦略である。しかし、現実世界においては、アリやハチなど、互いに協力し合う協調戦略(AC)を選択し、利他主義を持つ生物も多数存在する。最近、各プレイヤーには協力者となる同戦略を持つ仲間が存在し、コロニーを形成することでACが勝者となりえるモデルが提案された。これらは、一次元もしくは二次元上の格子上の囚人のジレンマゲームを行っている。これらは、格子のすべてがつながっているとしているが、現実においては、平面全域が行動可能範囲であることは少ない。そこで、本研究では、戦略配置が不能な格子や格子の頂点や辺を壁として設定し、プレイヤー同士の移動や伝達を抑制するものとしたモデルを構築した。
戦略配置が不能な格子や壁を導入した結果、最適な戦略が従来の結果と異なることが分かった。これは、戦略配置が不能な格子や壁によって、プレイヤー間の分断化が起こったことや、対戦可能な個体数の変化が影響したためであると考えられる。


日本生態学会