| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-303  (Poster presentation)

メタゲノム解析より明らかとなった干潟の生物遺骸に形成される微生物群集の特徴
Ecological features of carrion hot-spot microbe communities in a tidal flat revealed by a metagenomic analysis

*河本泰岳(東北大・院・生命), 大槻朝(東北大・院・生命), 柚原剛(東北大・院・生命), 加藤広海(東北大・院・生命), 風間健宏(国環研), 占部城太郎(東北大・院・生命)
*Yasutake KAWAMOTO(Tohoku Univ. Life Sci.), Hajime Otsuki(Tohoku Univ. Life Sci.), Takeshi Yuhara(Tohoku Univ. Life Sci.), Hiromi Kato(Tohoku Univ. Life Sci.), Takehiro Kazama(NIES), Jotaro Urabe(Tohoku Univ. Life Sci.)

 生物遺骸は高濃度の栄養物質を提供するホットスポットであり、その直下・周辺には特異的な生物群集が形成されると考えられる。実際、深海及び沿岸の海底では、生物遺骸に特異的な微生物群集が形成されることが、近年の研究で示されている。干潟は大気と泥と海水が境界面を形成するユニークな環境であるとともに生物の遺骸を始めとする多くの有機物が堆積する場所である。しかし、生物遺骸が形成するホットスポットに関する知見は干潟ではほとんどない。そこで本研究では、干潟環境においても生物遺骸が供給された際には特異的な微生物群集が形成されるという仮説をたて、それを検証する実験を行った。
 実験は仙台市東谷地干潟で行った。実験にあたってはポリ容器にマイワシ ( S. melanostictus ) を底泥と共に詰め、これを5 m間隔で3×3の格子状に9カ所埋設した(実験区)。また、距離の効果を検証するため、実験区のそれぞれのポリ瓶から10 cm の位置に1本ずつ、底泥のみ詰めたポリ瓶を埋設し、実験区と同様に埋設した(近傍区)。さらに対照区として、底泥のみを詰めたポリ瓶を、6本埋設した。埋設後、2、9および42日目に、実験区と近傍区からは3本ずつ、対照区からは2本ずつポリ容器を回収し、容器内の底泥を採取した。採取した底泥試料からDNAを抽出し、PCRで細菌16S rRNAの増幅を行い、NGSによるメタ解析を行なった。得られたメタ16Sデータをデータベース上のメタ16S・メタゲノムとの比較し、その特異性を解析した。本発表では、その解析結果を報告するとともに、生物遺骸ハビタットに形成された微生物群集の特徴について考察する。


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