| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-305  (Poster presentation)

ゲーミフィケーションを利用した生態学教育アプリの開発
Development of environment education application using gamification

*寺尾明日実, 中桐斉之(兵庫県立大学)
*Asumi TERAO, Nariyuki NAKAGIRI(Univercity of Hyogo)

生物多様性という言葉の調査では、未だに国民の約半分が「聞いたこともない」と答えており、認知度は低く問題になっている。これは、現状の生物多様性教育は効果が上がっておらず、改善の余地があることを示している。一方、近年、ゲームに熱中するような楽しく感じさせる仕組みをゲーム以外の分野に取り入れるゲーミフィケーションが注目され、様々な分野で用いられてきている。教育の分野でも導入され、学習へのモチベーションが維持されることが明らかになっている。
そこで本研究では、生物多様性を楽しく気軽に学習できるツールを作成し、生物多様性に関する理解の向上を目的として、ゲーミフィケーションを利用した携帯端末上で作動する生物多様性教育アプリケーションを開発した。開発アプリは「勉強」「ガチャ」「生物図鑑」の3つの画面と、アプリの利用を促す応援「マスコット」から構成されている。
「生物図鑑」を完成させるためには、射幸的要素を持つ「ガチャ」を引く行為を重ねていく必要があるが、ガチャを引く原資として勉強により得られるポイントが必要になることから、地道な生物多様性に関する「学習」行為が求められる。図鑑を完成させたいという蒐集欲求や、ガチャを引くことでランダムに報酬が得られる射幸心、「マスコット」からの応援メッセージによりユーザに勉強の反復を促す仕組みを組み込んだ。
本アプリの効果を検証するため、2週間アプリを利用したユーザの利用前後のアンケート調査から認識の変化を調べた。生物多様性への認知の向上が見られたほか、利用初期から後期にかけて勉強の正解数が増加し、生物多様性に関する知識の定着も一定量期待できることがわかった。
本研究により、収集要素・ランダム獲得報酬・マスコット応援などの学習を促すゲーミフィケーションを導入したアプリの利用が生物多様性に関する知識を増やし認知を上げることに繋がることが明らかになった。


日本生態学会