| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-395  (Poster presentation)

フェノロジーの時空間変異とメタ個体群動態:個体群サイズに依存した確率的効果
Phenological variation through time and space: the stochastic effect of population size and consequences for metapopulation dynamics

*高橋華江(神戸大学), 佐藤拓哉(神戸大学), 瀧本岳(東京大学)
*Kae Takahashi(Kobe Univ.), Takuya Sato(Kobe Univ.), Gaku Takimoto(Univ. Tokyo)

繁殖フェノロジーは生息地の環境異質性によりしばしば個体群間で変異をもつ。特に、個体が生息地間を移動できる程度の空間スケールにおけるフェノロジーの空間変異とその空間変異の年変動は、メタ個体群動態にも影響するかもしれない。しかし、小さな空間スケールでは環境異質性は小さくなると予想されるにも関わらず、フェノロジーの時空間変異の程度を決める環境以外の要因についてはあまり知られていない。そこで、モリアオガエルの繁殖フェノロジーに注目し、空間変異とその年変動がどのようなメカニズムで生じるか検討した。さらに、繁殖フェノロジーの時空間変異とそれを生み出すメカニズムが、メタ個体群動態の安定性にどのような影響を与えるか行列個体群モデルを用いて調べた。
京都大学芦生研究林内(<10km2)の23所の池で、モリアオガエルの繁殖フェノロジー(産卵のピーク)を5年間調査した。池間の繁殖フェノロジーは毎年16日以上の大きな空間変異があった。しかし、各池の環境要因(気温・水位)ではこれを説明できなかった。一方、それぞれの池の5年間の繁殖フェノロジーの年変動は、最小のサイトで3 日、最大のサイトで23日となり、小さな個体群ほど大きくなる傾向があった。個体群サイズの効果を直接検証するランダマイゼーション検定では、個体群サイズの効果がフェノロジーの空間変異の一部を説明することを示唆した。上記の結果から、この時空間変異の要因として、小さな個体群の繁殖フェノロジーのピークが大きな個体群よりも確率的に極端な値を取りやすくなることで、フェノロジーの時空間変異が生じるというメカニズムを提唱する。行列個体群モデルからは、生息地間の空間変異と生息地のサイズがメタ個体群動態の安定性に影響を与えることがわかったが、フェノロジーの空間変異が池ごとの環境異質性と個体群サイズに依存した確率効果のどちらによって駆動されるかによって影響の与え方は異なった。


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