| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-468  (Poster presentation)

湿原生態系における花の面的分布を広域的に把握する:ドローンと機械学習を用いた試み
Exploring the large-scale distribution of flowers in moorland ecosystems by using a drone and machine learning techniques

*後藤亮仁(横浜国立大学), 巻島大智(横浜国立大学), 須藤瑠衣(横浜国立大学), 石井直浩(東北大学), 谷口快海(東北大学), 河合勇高(東北大学), 内田圭(横浜国立大学), 須山佳久(東北大学), 彦坂幸毅(東北大学), 佐々木雄大(横浜国立大学)
*Akihito GOTO(Yokohama National Univ.), Daichi Makishima(Yokohama National Univ.), Rui Sutou(Yokohama National Univ.), Naohiro Ishi(Tohoku Univ.), Hayami Taniguchi(Tohoku Univ.), Yutaka Kawai(Tohoku Univ.), Kei Uchida(Yokohama National Univ.), Yoshihisa Suyama(Tohoku Univ.), Kouki Hikosaka(Tohoku Univ.), Takehiro Sasaki(Yokohama National Univ.)

湿原生態系は生息地の分断化や気候変動による環境変化に対して脆弱性が高いと指摘されている。八甲田山内の湿原は1967年と2014年を比較すると平均40%程減少している。また、湿原の環境変化は、種レベル及び群集レベルでの花のフェノロジーの変化を引き起こし、湿原の多様性の喪失につながるとされている。環境変化の影響を観察するためには、湿原内でも異なる環境による影響を考慮して調査するために花のフェノロジーの変化を湿原で面的に把握する必要があり、広範囲で個々の植物の判読する手法が必要不可欠である。
このように、植物群集を観察することは環境変化による影響を把握するためには重要であるが、多くの研究は特定の小範囲での観察がほとんどである。人による調査は正確であるが出来る量は少なく、かつ調査地に入るため調査地環境の破壊につながる可能性もある。また、航空機や人工衛星を用いたリモートセンシングは広範囲で観測できるが、個々の植物を判定することは出来ない。そこで、広範囲で調査を行うために近年、一回当たりの飛行コストが安いドローンと画像認識において新たな手法である深層学習を用いた手法が行われている。しかし、ドローンと深層学習を用いて森林の樹種を判別する等の研究は存在するが、湿原の花を判別した例はない。本研究ではドローンと深層学習を用い、湿原内の花の面的分布を広域的に把握することを目的とした。
2018年8月に青森県八甲田山域の湿原を対象にドローンを用いて高度15mから撮影を行った。撮影されたデータから複数種の花判別用の教師データを作成し、深層学習ライブラリTensorFlowを用いて学習させ、湿原内の複数の花を判読させる試みを行った。


日本生態学会