| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-502  (Poster presentation)

環境DNA手法のコウモリ調査への応用
The application of eDNA method for bat study

*岩澤大地, 荒木仁志(北海道大学)
*Daichi Iwasawa, Hitoshi Araki(Hokkaido Univ.)

 コウモリ類は捕食者および送粉者として生態系の中で重要な役割を担っている。一方、国内で報告のある35種(絶滅した種を除く)のうち21種が環境省のレッドリストに記載されており、絶滅や個体数の減少が危惧されている。そのため、生態や分布情報に基づく適切な保全をおこなう必要がある。
 しかし、洞内に侵入しての調査は多大な労力を要するため、洞窟棲コウモリ類を広範囲に調査するのは困難である。そのため、生息個体数の推定や季節の変化による利用洞窟の変化など、洞穴棲コウモリ類の生態や分布に関する情報は貧しいままである。
 そこで、本研究では洞窟からの流水や周辺の河川の水を濾過し、環境DNAを分析することによって、洞窟に侵入せず洞内のコウモリ相を把握することを目的とした。洞窟の流水中に含まれる環境DNAを解析した結果、洞内に生息するコウモリ類3種が検出され、洞内のコウモリ相を正確に反映していた。このことから洞穴棲コウモリ類の調査に環境DNA手法が有用であることが示唆された。


日本生態学会