| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-079  (Poster presentation)

交尾器破壊によるゴミグモ属メスの一回交尾は普遍的か?
The effect of female genital mutilation on the number of matings in Cyclosa spiders

*中田兼介(京都女子大学), 繁宮悠介(長崎総合科学大学)
*Kensuke NAKATA(Kyoto Women's Univ.), Yusuke Shigemiya(Nagasaki Inst. Appl. Sci.)

クモにはメスの交尾器が壊れたメスが野外採集個体の中に見つかる種がある。そのうちギンメッキゴミグモとキタコガネグモダマシでは、処女メスの交尾器が最初の交尾時にオスによって高頻度で破壊されること、破壊されたメスはその後再交尾できなくなることがわかっており、交尾器破壊がメスの一回交尾を実現する機能を持つと考えられる。さてギンメッキを含むゴミグモ属には壊れた交尾器を持つメスが見つかる種が他に13種知られており、これらがギンメッキと同様の繁殖生態を示すのか明らかにするため、ゴミグモ、ギンナガゴミグモ、ミナミノシマゴミグモで交尾行動を観察し比較した。その結果、ゴミグモは交尾器破壊をせずメスは複数オスと交尾すること、ギンナガとミナミノシマでは交尾器破壊が見られたものの頻度はギンメッキより低く、またギンナガでは既交尾で交尾器が破壊されていないメスが求愛するオスを攻撃的に排除して拒絶することがわかった。このことは、これまで二種で知られていた交尾器破壊に関する生態が必ずしも普遍的ではないことを示唆している。


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