| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-186  (Poster presentation)

格子空間における巡回的競争の表現型モデルと遺伝子型モデル
Phenotypic and genotypic cyclic competition models on lattice space

*佐藤一憲(静岡大学)
*Kazunori SATO(Shizuoka University)

Sinervo and Lively (1996) は,ワキモンユタトカゲのオスの3タイプの形質に対応する離散時間のジャンケンモデル(巡回的競争モデル)を提案して,そのダイナミクスの解析をおこなった.Barreto たち (2017) は,この表現型のモデルを遺伝子型のレベルから考え直すことによって,平衡状態は変化しないものの,その安定なパラメータの領域には大きな違いが出てくることを明らかにした.ここで,遺伝子型モデルでは,ランダムに交配が起こり,表現型に働く適応度に違いがあると仮定している.今回の発表では,まず,Barreto たち (2017) のモデルに対して,対称的な競争を表すようにパラメータを限定することによって,内部平衡点ではすべての表現型の割合が等しくなるように単純化する.このような条件の下で,各々の表現型に対応する全ての遺伝子型のモデルについて,内部平衡点の安定性を調べる.さらに,格子空間上の集団に対して,競争・繁殖・交配のすべてのプロセスにおいて,相互作用の起こる範囲が集団全体に及ぶ場合と最近接だけに限る場合を比較して,内部平衡点の安定性にどの程度の違いが現れるのかを調べる.また,表現型あるいは遺伝子型の個体の空間分布のパターンが,内部平衡点の安定性に与える影響について検討する.


日本生態学会