| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-328  (Poster presentation)

食性解析において捕食者DNA増幅を阻害するための新たな手法の検討
A new method for inhibiting predator DNA amplification in investigation of feeding habit by DNA barcoding

*金澤彩樹, 今中応亘, 赤瀬公亮, 和田悠作, 松平崇弘(株式会社ファスマック)
*Saki KANAZAWA, Takanobu Imanaka, Kosuke Akase, Yusaku Wada, Takahiro Matsudaira(FASMAC CO.,LTD)

  DNAバーコーディング技術は多くの生物が共通して持つ特定の遺伝子領域の短いDNA配列(DNAバーコード)を解読し、既存のデータベースと照合することで種を同定する方法である。この手法は捕食者の餌生物を特定するために利用することができるが、捕食者の胃の内容物や糞便などに由来するDNAの多くは捕食者由来であり、餌生物由来のDNAの比率は極めて低い。現在では、餌生物由来のDNAの検出感度を高めるために、オリゴDNAを用いることで捕食者由来のDNAのPCR増幅を阻害するブロッキング技術が多く利用されている。しかし餌生物のDNA配列やTm値を考慮しなければならないため、オリゴDNAの設計は煩雑である。そこでゲノム編集で用いられるCRISPR/Casシステムの利用を検討した。CRISPR/CasシステムはCas9タンパク質および任意のターゲット配列にCas9タンパク質を誘導するガイドRNAの複合体によりターゲット配列を切断する。CRISPR/Casシステムのターゲット配列に対する特異性は高く、捕食者由来のDNA配列のみを特異的に切断することができるため、確実なブロッキングが可能であると考えられる。
  本研究ではいくつかの水生生物の胃の内容物について、既存のブロッキング技術の代替としてのCRISPR/Casシステムの利用可能性を検証した。捕食者の胃から抽出したDNA中の捕食者のCOI遺伝子領域のみをCRISPR/Casシステムで特異的に切断し、NGSを用いたアンプリコン解析を行ったのでその結果を報告する。


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