| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-392  (Poster presentation)

モウソウチクの拡大戦略:地下茎の水平・垂直方向の分布様式と生産量・分配量の推定
Expansion strategy of moso bamboo (Phyllostachys edulis): Horizontal, vertical distribution and production and allocation of rhizomes

*小林慧人(京都大学), 大橋瑞江(兵庫県立大学), 藤原道郎(淡路景観園芸学校), 北山兼弘(京都大学), 小野田雄介(京都大学)
*Keito KOBAYASHI(Kyoto  Univ., Forest Ecology), Mizue Ohashi(Hyogo Pref. Univ.), Michiro Fujijara(Hyogo Pref. Univ., ALPHA), Kanehiro KItayama(Kyoto  Univ., Forest Ecology), Yusuke Onoda(Kyoto  Univ., Forest Ecology)

 近年、西日本を中心に管理放棄された竹林(モウソウチク林)の拡大が深刻であり、拡大のメカニズムを明らかにすることは竹林管理を検討する上で重要な課題である。モウソウチクは発達した地下茎をもち、その節にある芽から、春季には新しいシュート(筍)を、夏季には新しい地下茎を生産する。このような地下茎の成長様式はモウソウチクの拡大現象に深く関係していると考えられる。そのため、竹林の拡大戦略を明らかにするためには、地下茎の分布様式や生産量・分配量に関するデータを定量・評価することが重要である。しかし、これらの調査には、多大な労力や時間がかかり、また、しばしば1度きりの破壊的な調査となってしまうため、実際に行われたことはほとんどない。
 本研究では、兵庫県淡路市のモウソウチク林において、2013年9月に、8m×8mのプロットを3つ設け、そのプロット内に地下部調査用として2m×2mのサブプロットを2つ設けた。地下茎の成長を評価するために、2014年4月と2018年4月の2度、同じサブプロットを対象として、表層から深さ0.5 mまで、根を傷つけずないようにエアースコップを用いて掘り出し、地下茎を一時的に露出させた。各サブプロットをさらに0.5m×0.5mのメッシュに区切り、メッシュごとに地下茎の形質(長さ・太さ・節数)と位置を記録した。そして、林分レベルで地下茎の空間分布様式・現存量・生産量、地下茎への資源分配割合を推定した。本発表では、今回得られた結果について述べ、モウソウチクの拡大戦略について考察する。


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