| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-396  (Poster presentation)

冷温帯アカマツ林の土壌呼吸速度と樹液流束速度の日変化と季節変化 【B】
Daily and seasonal variation in soil respiration and sapflow in Pinus densiflora, cool temperate forest. 【B】

*安立美奈子(筑波大学), 斎藤琢(岐阜大・流域研), 廣田充(筑波大学)
*Minaco ADACHI(Univ. Tsukuba), Taku M Saito(Gifu Univ. RBRC), Mitsuru Hirota(Univ. Tsukuba)

生態系の炭素循環において土壌呼吸量は、光合成生産量の次に大きな炭素の流れであるため、長年多くの生態系において研究が進められてきた。土壌呼吸量の半分近くを占めると言われる根の呼吸は、地温だけでなく樹木の光合成や水分生理と深く関係すると考えられる。本研究では、土壌呼吸速度と植物の生理活性に関係性があるかを検証するために、冷温帯林のアカマツの樹液流束速度と土壌呼吸速度の日変動および季節変動と環境要因との関係を解明することを目的とした。
調査は、2018年4月から11月の期間に、長野県上田市の筑波大学山岳科学センター菅平高原実験所のアカマツ林でおこなった。グラニエ法によるアカマツの樹液流束速度の観測と付近の土壌呼吸速度および環境要因(気温、地温、光合成有効放射など)の観測もおこなった。
季節を通して晴れた日の土壌呼吸速度は、地温または気温の変化とほぼ同じような変動を示したが、曇りや雨の日になると土壌呼吸速度は地温との相関関係は低くなる傾向が認められた。特に夏期における降雨によって土壌呼吸は増加する傾向にあり、これは土壌微生物の活動に影響しているものと示唆された。一方で、曇天日では日中に気温や地温が上昇しても土壌呼吸速度の上昇は鈍ることから、植物の生理活性が土壌呼吸速度に影響を与えている可能性が示唆された。


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