| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-32  (Poster presentation)

ウナギのモノの見え方と認識
How motion-based vision influences object recognition in the Japanese eel

*中谷朱里, 岸優美花, 鷹濱えりな(加古川東高等学校)
*Akari Nakatani, Yumika Kishi, Erina Takahama(Kakogawa Higashi HS)

 私たちは、飼育しているウナギがピンセットを見るだけで巣穴から出てくるようになったと聞き、他のモノも認識、識別できるか図形●×を使って調べることにした。
 私たちは、3匹のウナギに対してまず2つの検証を行なった。1つ目の検証では「図形の認識」を行なった。エサを食べさせる日に図形●(直径1.0cm)を、エサを食べさせない日に図形×(幅1.0cm)を1ヵ月間見せた。図形は棒(長さ20.0cm)につけ、手で持った。このときの図形を“手持ちの図形”とする。結果、ウナギは目の前に現れたモノを図形●×に関係なく見ていた。
 2つ目の検証では「識別の検証」を行なった。水槽を図形●側と図形×側に分け、それぞれの図形を水槽に3ヶ所固定し、ウナギをその水槽に入れ10分間様子を観察した。結果はどのウナギも5分前後図形●側に滞在した。しかし、明らかに図形を選んでいるとはいえなかった。理由として、「識別の検証」では図形を固定していたのに対し、「図形の認識」では、図形が手持ちで揺れることがあった。そのため、「図形の認識」の実験時は図形に注目していたと考えられる。
 そこで、「観察の検証」を行なった。「識別の検証」と同様に2つに分けた水槽の片方に図形●を固定し、もう一方には手持ちの図形●を使用した。ウナギをその水槽に入れ、10分間様子を観察した。結果、ウナギは明らかに手持ちの図形●側に滞在していた。
 「観察の検証」結果を受け、「識別の検証」を改めて行なった。これを「識別の検証2」とする。この際、図形●×は“手持ちの図形”を使用した。結果は「識別の検証」よりも図形を見ていたが、図形●側に滞在した時間は10分間中5分前後だったため、明らかに図形を選んで滞在しているとはいえなかった。
 この検証では、ウナギは図形を認識、識別できなかったが動くモノに興味、関心を持つことがわかった。


日本生態学会