| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-41  (Poster presentation)

オランウータンとチンパンジー、遊びが好きなのはどっち?
Which is one of orangutans and chimpanzees prefer to playing?

*山根柊聖, 伊藤大生, 黒田峻平(海城中学高等学校)
*Shusei Yamane, Daiki Ito, Shunpei Kuroda(Kaijo high school)

 現在、熱帯雨林の減少などによって、オランウータン(Pongo pygmaeus)やチンパンジー(Pan troglodytes)の個体数が減少し、絶滅の危機に瀕している。この現状に対し現地では、オランウータンやチンパンジーを保護施設で管理する活動が行われている。この活動に対し、管理下における彼らの行動特性を解明することで、保護施設における環境エンリッチメントに貢献できると考えている。
 調査は、「オランウータンの方がチンパンジーより『遊び』(本研究における遊びとは、「物体を利用した遊び」や「他個体との取っ組み合いによる遊び」などを指す)の時間が長い」という仮説の下、東京動物園協会の多摩動物公園において行った。調査対象は、オランウータンのオトナ3 頭、コドモ 3 頭の計6頭と,チンパンジーのオトナ 2 頭,コドモ1頭の計 3 頭とした。その結果、彼らの1日の活動時間の内「遊び」にあてる時間はオランウータンが26%だったのに対し、チンパンジーが15%となり、オランウータンの方が「遊び」にあてる時間が長かった。また、物体を利用して遊ぶ「1人遊び」の時間は、オランウータンの方が長い傾向が見られた。
 次に、「他個体との取っ組み合い行動」による遊びについて注目し、オランウータンとチンパンジーの「取っ組み合い行動」が「遊び」の時間に占める割合を比較する。そして「オランウータンの方が1人遊びの時間が長い」という結果とあわせて、飼育下における両種の「遊び方」の違いや、オランウータンとチンパンジーそれぞれに適した環境エンリッチメントについて考察する予定である。


日本生態学会