| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-82  (Poster presentation)

プラナリアの外来種はどこまで広がるか
The Spread of Invasive Planarian in Japan

*安岡凜, 金剛麻衣子, 井上和奏, 久保田空(三田祥雲館高校)
*Rin Yasuoka, Maiko Kongou, Wakana Inoue, Sora Kubota(Sanda Shounkan H.S.)

 淡水生プラナリア類の外来種は、1960年代から日本に侵入し、近年、野外定着個体群があちこちで記録されている。三田市においても、10年前にアメリカナミウズムシ、昨年度の私たち科学部の調査でアメリカツノウズムシがみつかっており、2種の外来種が侵入していることがわかっている。そこで、他の多くの外来生物でみられるように、プラナリア類においても外来種が在来種を駆逐しつつあるのかを疑問にもち、本研究を始めた。まず、兵庫県三田市内武庫川水系で外来種がどこまで広がっているのかを明らかにし、その地理的特徴や水質との関係を分析し、プラナリア類の外来種がどこまで広がる可能性があるかを考察した。
 野外調査は、三田市を中心とした武庫川水系45ヶ所で、3種のプラナリア類の生息状況と、それぞれの採集地点のCOD(化学的酸素要求量)、電気伝導度、水温を調べた。プラナリアは、川の長さ5mの範囲を3人で10分間採集し、種ごとに計数した。電気伝導度は堀場コンパクト電気伝導率計、CODは共立理化学研究所パックテストを用いて測定した。結果調査結果をQGIS(地理情報システム)を用いて、地図上で分析した。結果、三田市の武庫川水系において、生活排水の流入で電気伝導度が高くなる傾向にある住宅地などを流れる川に外来種が生息し、電気伝導度の低い山間部や農村部の川には在来種が生息していることがわかった。
 このことから、プラナリアの外来種は、都市の開発と共に分布を広げると考えられる。外来種が在来種の生息に影響を与えるかどうかを解明するには、今後継続した研究が必要である。


日本生態学会