| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


シンポジウム S01-1  (Presentation in Symposium)

群集生態学のこれまでとこれから:概要説明
Community ecology: Current knowledge and future prospects

*森章(横浜国大・環境情報)
*Akira S Mori(Yokohama Natl. Univ.)

生物群集の成立や維持メカニズムを明らかにする試みは長くにわたり生態学の主たるテーマの一つである。これまでに、さまざまな対象分類群、システムを対象に重要な理論の構築がなされ、自然界で生じている数多の事象が少しずつ紐解かれてきた。現在卓越する生物間相互作用や環境と生物との関わり、進化プロセスの中で生じてきた生物的・非生物的要因が、現在の生物群集にどのような影響を与え形跡を残してきたのか、実証研究、理論、実験などから包括的に研究が展開されてきた。しかしながら、森林、土壌、草原、陸水、沿岸、海洋といった異なるシステム、微生物、植物、動物といった異なる生物群、実証と理論といった異なる研究アプローチにおいて、並行してあるいは乖離して研究が進められてきたところがある。たとえば、動物の行動生態学で培われた理論が植物群集にそのまま転用されていたり、熱帯の樹木群集を対象に発展してきた統合中立理論が栄養段階の異なる移動性のある生物あるいは高緯度地域のシステムにも広くそのまま適用されていたりする。生物群集が生態系の機能やサービスを駆動するといった一連の研究でも、草本植物群集と一次生産性の関連性から得られてきた理論が、現状では他の生物群や生態系機能にそのまま転用されている。本シンポジウムでは、異なる生物群、生物間相互作用、理論、システムを対象に群集生態学に取り組む方々を一堂に会し、これまでの理論発展とこれからの展望について議論する。


日本生態学会