| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


シンポジウム S10-7  (Presentation in Symposium)

GEOにおけるin-situ生物多様性・生態系機能観測への期待
Growing needs to in-situ ecosystem observations in GEO (Group on Earth Observations)

*村岡裕由(岐阜大学)
*Hiroyuki Muraka(Gifu University)

「地球観測に関する政府間会合」(Group on Earth Observations,GEO)は,国際的な連携によって衛星,地上,海洋観測等の地球観測や情報システムを統合(GEOSS = 全球地球観測システム)して,生態系や生物多様性,気候,水,災害,農業,などの社会利益分野の持続可能性や保全等に関する政策決定に必要な情報を創出することを目的として2006年に設立された。この「GEOSS10年実施計画」の間に,研究者グループや研究機関等の協力によって生物多様性分野の観測コミュニティ(Community of Practice)がGEO BONとして構築され,APBONはその地域実践コミュニティとして設立された。2016年からは第2期10年実施計画として「GEO戦略計画2016-2025」が立ち上がり現在に至っている。第2期では多分野の観測の連携をさらに進めて横断的な知見創出を推進することが重要な目的の一つとされ,特に生態系・生物多様性,炭素循環,気象などのin-situ(フィールド)観測コミュニティと衛星観測の連携促進が図られようとしている。この背景には,気候変動が生態系やその機能・サービスにもたらす影響の解明や要因分析,将来予測を進めるためには,専門家や市民科学による現地観測・分析情報が不可欠であること,また,衛星観測や地球システム予測モデルのデータの解釈や観測・予測精度の向上のためにもフィールドデータや知見の充実が必要であるという認識の強まりがある。我が国の地球観測においても,地球環境の変動の把握や気候変動対策の推進,陸域・陸水・沿岸・海洋生態系の保全と利活用の両立などのために,研究ネットワークなどによる生物多様性観測の発展や他分野との連携強化が必要とされている(地球観測推進部会「今後10年の我が国の地球観測の実施方針」)。本講演では地球観測におけるin-situ生物多様性・生態系機能観測の課題とネットワーク研究の展望を参加者の皆さんとともに考えたい。


日本生態学会