| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


シンポジウム S11-4  (Presentation in Symposium)

生物多様性国家戦略における分類学と多様性情報、コレクションの役割-行政の視点から-
The role of collections in providing data on taxonomy and species diversity for the National Biodiversity Strategy

*曽宮和夫(環境省)
*Kazuo Somiya(Ministry of the Environment)

 2010年に公表された生物多様性総合評価において、外来種問題を含む生物多様性に係る危機は森林、農地他全ての生態系において、増大傾向にあると評価されている。同年に名古屋で開催された生物多様性条約締約国会議においては、20の政策目標の一つとして「2020年までに、侵略的外来種とその定着経路が特定され、優先順位付けられ、優先度の高い種が制御され又は根絶される。また、侵略的外来種の導入と定着経路を管理するための対策が講じられる。」と明示された。
 外来種問題は同会議の結果を踏まえて作成された現行の生物多様性国家戦略2012-2020(以下、国家戦略)においても化学物質の問題と共に第三の危機(人間により持ち込まれたもにによる危機)に位置付けられ、同戦略では外来種問題への対応の骨格が示されている。加えて、分類学等との関連では「科学的知見の充実」が生物多様性保全と持続可能な利用に向けた五つの課題の一つとして明記され、そのための基本戦略として「科学的基盤を強化し、政策に結び付ける」とされる等、科学者の役割も含め明記されているところである。
 さらに、外来種への対応については、国家戦略に基づき、各主体の外来種問題に対するより具体的な行動指針として外来種被害防止行動計画(以下、行動計画)が2015年に農林水産省、国土交通省及び環境省により公表されている。
 本講演では、国家戦略や行動計画における政策体系についてまず整理して提示する。
 その上で、2017年のヒアリの侵入事例に係る対応や他の事例に即して、行政と博物館施設等の役割や連携のあり方について提示する。


日本生態学会