| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


シンポジウム S15-2  (Presentation in Symposium)

コウモリの音響ナビゲーション
Acoustic navigation of bats

*飛龍志津子(同志社大学)
*Shizuko Hiryu(Doshisha Univ.)

コウモリはイルカと同様,超音波を用いたエコーロケーションを行うことは,古くから知られている.高速に飛行しながら次々と小さな昆虫を捕食する様子は,まさに圧巻の技である.一方で,コウモリの高度な超音波利用の実態には,まだ不明な点が多い.様々な手法を駆使し,コウモリの詳細な音響行動の計測を進めていくと,生態学のみならず,工学的見地からも非常に興味深い知見が見えてきている.例えばテレメトリマイクロホンを用いた集団飛行中のコウモリの混信回避行動に関する音響計測からは,コウモリが互いに周波数を調整し合うことで,効率よく信号の混信を回避していることがわかってきた.また,野生のキクガシラコウモリに対して実施したGPSを用いたバイオロギング調査からは,コウモリが移動と停滞を繰り返しながら夜間の採餌飛行をしている様子などが明らかになりつつある.本発表では,実験室から野外調査に及ぶ幅広いスケールにおいて実施した行動分析の結果を通じて,コウモリの音響ナビゲーションに秘められた生物独自の工夫や知恵について紹介する.(本研究は日本術振興会科研費JP16H06542 (新学術領域「生物ナビゲーションのシステム科学」)18H03786およびJST さきがけの助成を受け実施した)


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