| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


自由集会 W03-2  (Workshop)

アーバスキュラー菌根菌胞子果を食べるコガネムシ類の発見とその生態
Feeding Behavior and Lifecycle of Mycophagous Dung Beetles Feeding Arbuscular Mycorrhizal Sporocarps: Possibility of Spore Dispersion by Insects

*日暮卓志(千葉県立中央博物館), 棚橋薫彦(産業技術総合研究所), 奥山雄大(国立科学博物館)
*Takashi Higurashi(NHMIC), Masahiko Tanahashi(NIAISI), Yudai Okuyama(NMNS)

 陸上植物の80%以上が、アーバスキュラー菌根菌(AM菌)と菌根共生関係を結んでいる。非常に重要な菌根菌でありながら、AM菌の生態については、いまだ不明な点が多く、地中に形成した胞子をどのようにして拡散しているのか不明であった。発表者の日暮は、コガネムシ類の生態に関心があり、特に食糞性コガネムシ(いわゆるフンコロガシ)の生態を調べている。食糞性コガネムシに分類されながら、糞に集まらない食糞性コガネムシが知られており、そのような食糞性コガネムシの多くは、食餌や生態がよくわかっていない。そのうちの2種、ムネアカセンチコガネ(ムネアカセンチコガネ科)とアカマダラセンチコガネ(アカマダラセンチコガネ科)の食餌を探求したところ、非常に驚いたことに、AM菌の胞子果(多数の胞子が集まり、塊状になったもの)を選好して食べることが、明らかになった。
 今回の発表では、AM菌とコガネ類の関わりについて、話題提供する。具体的には、以下の内容を紹介する予定である。
 1. ムネアカセンチコガネの採餌行動
 2. ムネアカセンチコガネの幼生期の生態
 3. アカマダラセンチコガネの採餌行動
 4. コガネ類の誘引物質の特定(AM菌胞子果の匂い成分解析の予備実験結果)


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