| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


自由集会 W20-1  (Workshop)

長期生態学研究ネットワークからみたデータレスキューの重要性
Importance of the data rescue in a perspective of long-term ecological research network

*柴田英昭(北大・北方生物圏セ)
*Hideaki Shibata(FSCNB, Hokkaido Univ.)

生態系の構造や機能は時間的、空間的に大きく変動するため、多地点における長期にわたるデータを解析することが有用である。長期生態学研究ネットワーク(LTER)は拠点サイトにおける生態学的な調査・観測、野外実験などを長期的な視野で行っているサイトネットワークであり、生態学、環境科学、生物多様性、物質循環等の研究を推進し、ネットワーク内外での比較研究や共同研究を奨励している。
 拠点サイトで得られたデータはJaLTERが管理運営している公開型データベースに登録することが出来る。それによりデータの長期的な公開・共有が可能となり、二次利用によるメタ解析や知見の統合化が進むことが期待される。また、Ecological Research誌のデータペーパーに出版されたデータセットはJaLTERデータベースからダウンロードすることができる。LTERで行われている研究データは多種多様であり、データフォーマットの形式は研究アプローチや対象によって大きく異なっている。そのため、JaLTERデータベースでは生態学メタデータ言語を採用し、各データセットの様式に応じたデータベース登録が可能となっている。
 そのような環境整備が進む一方で、多くの研究サイトでは過去から現在にかけて得られた多くの貴重なデータがいまだ公開されず、その再利用が出来ない状況で保管されている現状も続いている。データベースの重要性は理解されつつも、実際の登録が進まないのはなぜだろうか?データ取得者への評価不足やその努力が報われないことが原因だろうか?データベース登録の技術的な困難さがあるのだろうか?データペーパーを出版することへの魅力が足りないのであろうか?そもそもデータの公開や共有、その二次利用研究へ賛同できない理由があるのだろうか?
 本自由集会ではLTER研究の立場から上記の話題提供を行い、参加者からの忌憚のないご意見を伺い、活発な議論を期待する。


日本生態学会