| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


自由集会 W29-4  (Workshop)

日本の沼沢林:ハンノキクラスの植生体系の再検討
Arrangement of vegetation classification of japanese swamp forest: Alnetea japonicae

*原田敦子(藤沢市役所)
*Atsuko Harada(Fujisawa City)

 ハンノキ林は低湿地や湖沼辺縁などに明瞭な相観と特異な生育立地をもつ森林群落で,生育地の水環境や微地形の変化を反映して,空間的にも時系列的にも異なる種の組み合わせによる群落が成立する.しかし,ハンノキ林に固有な種群は必ずしも明確ではない.ハンノキ林群落は各地から報告されてきたが局地的な報告にとどまっており,上級単位については,1970年頃まではシオジ-ハルニレオーダーに帰属させる見解が中心であった(浅野ほか1969など).ハンノキクラスは宮脇・藤原・望月(1977)と佐々木(1978)によって記載され,それ以降も上級単位未定の群集・群落が報告(奥田, 1978: 大野, 1985など)されてきた.『日本植生誌1~10巻』(宮脇編著1980~1989)によって,日本全域の植生の知見が集積されたことを契機に植生便覧の改訂が行われ(宮脇・奥田・藤原1994),ハンノキ林の群落体系に新しい群集が加えられた.今回,日本植生誌2~9巻に記載されているハンノキ林を中心に原記載ほか関係する論文・報告書を再確認しながら,総合常在度表を作成し,国際植物社会学命名規約第3版(Weber et al., 2000)にしたがって現行の群集名の有効性や先取権等の検討ならびに整理を行った.その結果,ハンノキクラスAlnetea japonicae Miyawaki, Fujiwara et Mochizuki 1977,ハンノキオーダーAlnetalia japonicae Miyawaki, Fujiwara et Mochizuki 1977,ハンノキ-ヤチダモ群団Fraxino-Alnion japonicae Miyawaki, Fujiwara et Mochizuki 1977を上級単位とする6群集に整理された.植生便覧との変更点は,タチアザミ-ハンノキ群集とナガバツメクサ-ハンノキ群集がハンノキ-ヤチダモ群集Alno-Fraxinetum mandshuricae Miyawaki ex Haneda et al. 1970に統合され,オニスゲ-ハンノキ群集Carici dickinsii-Alnetum japonicae Okuda 1978は内容変更された.


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