| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(口頭発表) D02-09  (Oral presentation)

ノンパラメトリック検定の使用可能範囲:平均値や中央値の差の検定に使えないとき 【B】
When nonparametric statistical tests do not test differences in means or medians 【B】

*粕谷英一(九州大学), 阿部真人(理研AIP)
*Eiiti KASUYA(Kyushu University), Masato ABE(RIKEN AIP)

 ノンパラメトリック検定は、生態学などにおけるデータ解析において、広く使われてきた。ノンパラメトリック検定は特定の分布を仮定しないことから「分布のことは気にせずに使える」という誤解が少なくない。ノンパラメトリック検定におけるデータの分布の影響を、2つの条件での独立なサンプルでの大小の比較というシンプルな状況で検討した。たとえば、ある実験処理をした個体にコントロールの個体で何らかの量を比較する場合などがこの状況の例である。この状況で使われる代表的な検定がMann-WhitneyのU検定(Wilcoxon順位和検定)であるが、比べようとするデータが水平移動するとぴったりと重なる2つの分布からのものであることが仮定されている(location shift modelあるいはshift modelと呼ばれる)。分散や分布の形がちがうときには、水平移動してもぴったり重ね合わせることはできないから、仮定が満たされず適用範囲外になってしまう。そこで、分散が異なる場合に対して、ノンパラメトリック検定としてBrunner-Munzelの検定やFligner-Policelloの検定が提案されてきた。本講演では、帰無仮説が正しく本当は2つの条件間で大小の差がないときに有意な差を検出してしまう誤りである、第1種の誤りの率を評価する。これにより、分散や分布の形がちがうとき、これらノンパラメトリック検定は平均値や中央値を比べるための検定として使えるのだろうかという問いに、答える。


日本生態学会