| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


自由集会 MEW01-1  (Workshop)

昆虫ゲノム科学におけるデータ解析
Data analystics in the Entomological Genomic Science

*横井翔(生物機能利用部門, 農業情報研究センター)
*Kakeru YOKOI(IAS NARO, RCAIT NARO)

昆虫ゲノム科学におけるデータ解析
横井 翔(農研機構・生物機能利用研究部門)
10年前、次世代シーケンサーを利用したオミクス解析といえばお金を潤沢に持ったラボが利用できるお金持ちの象徴とも言える実験手法であった。現在はテクノロジーの進歩(特にシーケンサーの技術発達)によって、少額の研究費があれば誰でも、しかも多数の検体のゲノムやトランスクリプトームのシーケンスが可能になった。加えてRNAiやゲノム編集などの遺伝子改変技術の発達によって非モデル生物でも、遺伝子レベルの研究を行い、知見を得ることが可能になった。これらの技術の発達の恩恵をもっとも受けた非モデル生物といえば昆虫であろう。数年前まで昆虫でゲノムを使った研究といえば、ショウジョウバエ、カイコ、蚊など極めて限定的な種に限られていて、演者の扱っている種ではゲノムや遺伝子レベルでの研究をするのは困難であった。しかし上記テクノロジーの発達によって、ゲノムや遺伝子レベルでの研究がありとあらゆる昆虫で可能になった。現在は誰でも気軽にゲノムをシーケンスできる時代になり、生態学でもゲノムデータを取り入れる時代がもうすぐそこまできていると考える。演者は非モデル、モデル昆虫の分子生物学の研究を始め、とある時からバイオインフォマティクスを学び、現在は様々な農業昆虫のゲノムデータ解析を行っている。本講演では昆虫分野におけるゲノムのデータ解析の歴史を紹介しつつ、最近演者が関わったゲノム解析の実例を簡単に紹介する。それを踏まえた上で未来の生態学にゲノム科学がどのように取り入れられるか考察したい。


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