| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-PA-056  (Poster presentation)

生物群集による寄生者制御:ハリガネムシ感染経路における中間・終宿主の種多様性効果
Parasite and ecological communities: Synergetic effect of intermediate- and definitive-host diversities on the trophic transmission of horsehair worm

*友渕直人(神戸大学), 内海俊介(北海道大学), 太田民久(富山大学), 岸田治(北海道大学), 舘野隆之輔(京都大学), 丹羽滋(自然環境研究センター), 長谷川功(北海道区水産研究所), 瀧本岳(東京大学), 佐藤拓哉(神戸大学)
*Naoto TOMOBUCHI(Kobe Univ.), Syunsuke UTSUMI(Hokkaido Univ.), Tamihisa OHTA(Toyama Univ.), Osamu KISHIDA(Hokkaido Univ.), Ryunosuke TATENO(Kyoto Univ.), Shigeru NIWA(JAPAN WILDLIFE RESEARCH CENTER), Koh HASEGAWA(Hokkaido Nat. Fish Res. Inst.), Gaku TAKIMOTO(Tokyo Univ.), Takuya SATO(Kobe Univ.)

寄生者の感染動態に関する研究では近年、宿主の種多様性が高いほど寄生者の感染機会が浪費される希釈効果と、感染機会が増大する増幅効果という2つの種多様性効果に注目が集まっている。しかし、長期データに基づく検証例は限られている。北海道のハリガネムシ類は、多様な水生昆虫(中間宿主)と多様な陸生昆虫(終宿主)を利用する生活史を有しており、宿主の種多様性効果を検証する良いモデルになる。先行研究では、中間宿主である水生昆虫の羽化フェノロジーの多様性が、終宿主である地表徘徊性甲虫類への感染機会を長期化していること(時間的増幅効果)が明らかになった。一方、地表徘徊性甲虫による種多様性効果や、ハリガネムシ類の年間平均個体数とその変動係数(感染動態の指標)は明らかでない。

本研究では2013~2018年にかけて、北海道北部(天塩・雨龍)、南西部(苫小牧)、東部(標茶)の4サイト・7地点で、河川周辺に生息する地表徘徊性甲虫とハリガネムシ成虫のモニタリングを実施した。その結果、種多様性の最も高い地点(苫小牧)で3科21属43種の、最も低い地点(標茶)で2科12属19種の地表徘徊性甲虫が確認された。地表徘徊性甲虫のハリガネムシ類の感染率は種間差が大きく、捕獲個体数は多いが感染が確認されない甲虫種が複数含まれていた。ハリガネムシ類は全てのサイトで概ね1種のみで構成されており、複数種が確認される場合にもその個体数は非常に少なかった。自由生活史期にあるハリガネムシ成虫の6年間の平均捕獲個体数(1-56個体)と変動係数にはそれぞれ、地点間で大きな差があった。ハリガネムシ成虫の平均捕獲個体数は地表徘徊性甲虫の種多様性と正の相関を、変動係数は種多様性と負の相関を、それぞれ有していた。本発表では、このような相関がみられる仕組みについて、地表徘徊性昆虫の群集構造や季節性を踏まえて議論する。


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