| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-PD-485  (Poster presentation)

河川上を移動するユリカモメ:どのような状況下で河川を移動するか?
Black-headed Gulls use urban rivers as movement corridors: which factors influence their use of rivers?

*竹重志織, 加藤和弘(放送大学大学院)
*Shiori TAKESHIGE, Kazuhiro KATOH(The Open University of Japan)

都市環境に生息している鳥類の個体群存続のためには、生息地の保全と合わせて生息地間の行き来を可能にする移動経路も保全することが必要不可欠である。多くの水鳥は、1日に少なくとも2つ以上の生息地(採餌場所・ねぐら)の間を移動するが、建物や構造物が密集した都市環境では、これらの種が安全かつ自由に移動が可能な空間は限られている。演者らが水鳥の越冬期(12月〜3月)に東京都の神田川で行ったこれまでの研究で、ユリカモメ(Larus ridibundus)とセグロカモメ(L. argentatus)について、移動経路として河川を頻繁に利用している事を明らかにした。この2種の観察個体の大半は河川流路に沿って移動し、河川から外れたり外から河川に入ってきたりする移動はほとんど観察されなかった。しかしこの2種は、河川近隣の孤立水域において日中に多くの個体が観察されている。河川から孤立水域へ移動する際に利用される空間についてはなお未解明である。そこで本研究では、特に移動経路としての河川の利用が多かったユリカモメを対象として、2つの河川(隅田川・鶴見川)において、移動が活発な早朝と夕方に調査を実施した。その結果、それぞれの河川の一部の区間で、河川から外れたり外から河川に入ってきたりする移動が認められた。これらの移動は1)目的地に行くための飛翔距離の短縮、2)孤立水域へのアプローチが考えられる。そこで、どのような環境条件下においてユリカモメが河川から外れたり、外から河川に入ってきたりするかを明らかにするため、孤立水域までの距離や河川周辺の構造物の高さなどの環境要因について評価し議論する。


日本生態学会