| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-PA-013  (Poster presentation)

ファイトテルマータにおける水生生物の群集構造の決定要因:葉リター vs. 林分環境 【B】
Determinants of aquatic invertebrate assemblages in phytotelmata: leaf-litter type vs. forest type 【B】

*吉田智弘, 岡田潤之介(東京農工大学)
*Tomohiro YOSHIDA, Junnosuke OKADA(Tokyo Univ. Agr. Tech.)

森林生態系において植物上の水溜まり(ファイトテルマータ)は、水生生物にとって重要なパッチ状生息場所である。ファイトテルマータの水生生物群集は、餌資源としての内部資源(葉リター)の質や量、それらが分布する林分環境の影響を強く受けることがこれまでに示されている。しかし、パッチ間の群集構造の違いをもたらす要因を解明するためには、それら2つの環境因子の相対的な効果を比較することが必要である。本研究では、人工容器を用いて、餌資源と林分環境、および林分による餌資源の増加時期の違いがファイトテルマータの水生生物群集に及ぼす効果を検証した。
2019年5月から11月にかけて、落葉広葉樹林と竹林において野外実験を実施した。蒸留水と葉リター(タケまたはコナラ)を入れた人工容器を用いて、設置林分(広葉樹林・竹林)、葉リター流入の有無(流入区・制限区)によって6種類の処理区を設定した。人工容器の回収と設置を5月から2ヶ月間隔で3回行い(5-7月、7-9月、9-11月)、内部の環境因子(堆積物量、水量、水温、電気伝導率、溶存酸素量[DO]、pH)を測定し、無脊椎動物を回収・同定した。
3期間の人工容器から、10分類群2420個体の無脊椎動物を得た。それらの群集構造と各分類群の個体数を餌資源と林分の異なる処理区で比較した結果、群集構造に対する効果は餌資源よりも林分の方が大きいことが示された。一方、分類群によっては餌資源の違いが個体数に影響していた。葉リター流入の有無を比較したところ、竹林(5-7月)と広葉樹林(9-11月)の落葉期において流入区の堆積物量は増加し、DOが減少した。しかし、それらは両林分の群集に有意な影響を及ぼさなかった。
以上より、ファイトテルマータの無脊椎動物群集は、林分の効果が内部の餌資源の違いの効果よりも強いため、林分内のパッチ間で均一性が高まりやすいことが示唆された。


日本生態学会