| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-PA-085  (Poster presentation)

外来種ハイミチヤナギの定着要因ー近縁な在来種ミチヤナギとの生活史比較から
Factors of establishment of invasive species Polygonum aviculare subsp. depressum – comparisons with life history traits of native relative

*宮本実穂, 大原雅(北大・院・環境科学)
*Miho MIYAMOTO, Masashi OHARA(Hokkaido Univ. Env. Science)

北海道で広く分布している外来植物の一種にハイミチヤナギ(Polygonum aviculare subsp. depressum)がある。ハイミチヤナギはヨーロッパ原産の一年生草本で、わが国では北海道で初めて侵入が確認され、現在は日本各地に分布する。北海道においてハイミチヤナギは秋まき小麦の強害雑草であり、外来種のリストである北海道ブルーリスト2010のA3に指定されている。ハイミチヤナギはほかの外来植物の生育も殆ど見られない都市部の児童公園内の裸地部でもよく生育している。しかし、ハイミチヤナギがそのような特殊な環境に侵入し、定着できる背景は明らかになっていない。一方で日本にはハイミチヤナギと近縁な在来種ミチヤナギ(P. aviculare subsp. aviculare)が知られている。ミチヤナギは路傍などの緑地環境に生育し、ほかの雑草種との共存が認められる。そこで本研究は外来種ハイミチヤナギと近縁在来種のミチヤナギの生活史並びに生育地の物理的環境を比較することで、ハイミチヤナギの侵入、定着の要因を明らかにすることを目的として行った。
まず、ハイミチヤナギとミチヤナギの札幌市内における現在の分布状況を都市部から郊外まで網羅的に調査した。その結果、ハイミチヤナギの方がミチヤナギよりも市内の広域に分布しており、特に都市公園を主としたより硬い土壌環境(平均7.12kg/cm2と4.61kg/cm2)に生育する傾向が認められた。生活史特性として種子の大きさと種子重を測定した。その結果ハイミチヤナギはミチヤナギよりも小型(平均1.8㎜と2.2㎜)で軽い種子(平均0.9mgと1.3mg)を生産することが分かった。今後は発芽後の生存率や資源分配を調査し、ハイミチヤナギの定着要因を明らかにする予定である。


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