| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-PC-200  (Poster presentation)

武蔵野台地北縁における崖線の地形と植生
The topography of the cliff line and vegetation in Musashino-daichi northern edge

*新坂祥(明大院・農)
*Sho NIIZAKA(Meiji Univ.)

崖線とは崖地の連なりのことで、そのでき方によって変動崖と浸食崖の2つに分かれる。変動崖は地表の運動によって生じたもので、浸食崖は川や海の作用で生じたものを指す。都市域では開発不適地として崖地が連なる崖線の斜面緑地が残っている。崖線は東京都では希少な春植物の自生地が存在している。
春植物は早春に典型的な落葉広葉樹林帯の林床で葉を展開し、開花する1群の草本植物群の総称である。しかし、現在は建築技術の向上もあり崖線が有する斜面緑地も住宅候補地となり都市域の緑地が更に減少している。本研究は崖線の緑地に残されている春植物の一種であるニリンソウを対象種としている。この植物は東京都で絶滅危惧種に指定されている。
本研究では、崖線の地形を環境、樹木、草本を調査し、崖線とニリンソウを取り巻く周囲の季節変化について把握することを目的とする。調査地は、都立公園である赤塚公園とした。赤塚公園は河川の作用によって削られて出来た武蔵野台地の北縁に位置する公園で崖線を有している都市公園である。その赤塚公園内でムクノキとケヤキ林が優占しており、以前から植物相が豊富であるとして人の手をなるべく加えられなかった特殊な崖線と、その他大部分を占める、雑木林として使用され現在クヌギとコナラ林が優占している崖線を対象に調査した。それらの崖線を40m×40mの範囲で地形を傾斜が急に大きく変わる傾斜変換線で上部、中部、下部の3つに区分し、その区分ごとに相対日射量、土壌水分、地温、土壌硬度の環境と樹木、そして草本を調査した。各地形区分の季節の変化を調べるため光環境が大きく変動する樹木の展葉前(3月)、ニリンソウ繁茂期(4月)、展葉後(9月)の環境のデータを用いた。土壌硬度は7月のデータを用いた。
発表ではこれらの調査から得られたデータを基に崖線とニリンソウを取り巻く周囲の季節変化について考察する予定である。


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