| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-PC-334  (Poster presentation)

ゴルファーのゴルフ場の植物・植生への意識:多様性の高い草原の残るゴルフ場での調査
Attitude survey of golf players about plants and vegetation: case study in golf course with species rich semi-natural grasslands

*松村俊和(甲南女子大学), 澤田佳宏(兵庫県立大, 淡路景観園芸学校), 橋本佳延(兵庫県博)
*Toshikazu MATSUMURA(Konan women's Univ.), Yoshihiro SAWADA(Univ. of Hyogo, ALPHA), Yoshinobu HASHIMOTO(HITOHAKU)

[背景と目的]
歴史の長いゴルフ場の一部には,レッドリストに掲載された絶滅危惧種を含む草原生植物が生育している.その保全には,生態学的な知識だけではなく,ゴルフ場のステークホルダー間での合意形成が重要であり,ゴルフ場の管理者やゴルファーの意識を明らかにする必要がある.演者らはこれまでにゴルフ場管理者とは意見交換を重ねてきた.しかし,ゴルファーの生物多様性に関する認識については把握しておらず,既存研究も見当たらない.そこで本研究では,ゴルファーの植物に対する認識を明らかにすることを目的とした.
[方法]
歴史が長く多様な草原生植物が生育する2つのゴルフ場のゴルファーを対象として質問紙調査を実施した,質問紙ではゴルフ場を選択する際に重視することや,ゴルフ場に生育する植物に対する認識等について尋ねた.
[結果および考察]
ゴルファー49名から回答を得た.ゴルフ場を選択する際に重視すること(複数選択)では,「自宅からの距離」「コースからの景色」が50%と多く,「自然環境の良さ」「コースの管理」「コースの難易度」がそれぞれ30%以上であった.ゴルフ場に多様な野草が生育していることに対して,「プレーの邪魔になるとは思わない」「見た目が良い」「生物を保全している」はれぞれ約80%であった.野草が生育していても不都合がないゴルフ場内の場所(複数回答)として,「ホール感の通路周辺」「クラブハウスの周辺」「ティーイングエリア周辺の斜面」「ラフ」がいずれも50%を超えていた.野草の花を見ることができたとしたら来場頻度を「増やす」あるいは「減らす」という回答は合計で約10%と少なかったが,「知人を誘って来場する」「来場を勧める」「知人にゴルフ場の野草の話をする」はそれぞれ30%を超えていた.
このように,今回調査をしたゴルフ場では,ゴルファーの多くは野草の生育に対して比較的好意的であることが示された.


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