| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-PC-338  (Poster presentation)

陸域生態系が河川を通して沿岸生態系に与える影響評価のためのモデル構築
Model construction to assess the impact of terrestrial ecosystems on coastal ecosystems through rivers

*大庭ゆりか(京都大学), 伊勢武史(京都大学), 笠井亮秀(北海道大学), 亀山哲(国立環境研究所), 安孝珍(京都大学), 久米学(京都大学), 寺島佑樹(京都大学), Feng YE(Kyoto Univ.), 山下洋(京都大学)
*Yurika OBA(Kyoto Univ.), Takeshi ISE(Kyoto Univ.), Akihide KASAI(Hokkaido Univ.), Satoshi KAMEYAMA(NIES), Hyojin AHN(Kyoto Univ.), Manabu KUME(Kyoto Univ.), Yuki TERASHIMA(Kyoto Univ.), Feng YE(Kyoto Univ.), Yoh YAMASHITA(Kyoto Univ.)

近年、人間活動が海洋生態系に与える影響が増大しており、特に沿岸域でその傾向が顕著である。沿岸生態系への影響は、河川を通じた陸域との接続が要因の一つであると考えられており、隣接した集水域の土地利用変化や人間活動によって、沿岸域の水質や生態系が変化したという事例も報告されている。しかし、事例研究は多く存在するものの、陸域環境と沿岸生態系の普遍的な関係性に言及した研究例は少なく、陸域環境が沿岸生態系へ及ぼす影響を定量的に評価できるモデルも不十分である。これは、対象が広範囲、かつ、顕在および潜在的な要因やシステムが膨大であるがゆえに解析が困難であったことが理由の一つとして考えられる。そこで本研究では、近年、生態学分野への適用が進んでいるデータ駆動型アプローチを採用して、陸域環境と沿岸生態系の普遍的な関係性をデータ駆動型モデルで再現し、その結果を用いた沿岸生態系の影響評価モデルの構築を目指した。
本研究では、陸域環境と沿岸生態系の関係性を定量的に解析するため、北海道から鹿児島までの日本国内広域で複数の河川を選定し、その河川の集水域における陸上の変数(土地利用割合や、国勢調査データから得られる社会経済指標など)および河口付近の海洋生態学的変数(環境DNAから推定される生物多様性など)を取得した。本発表では、河口域の特定の変数を説明する陸上の変数を定量的に抽出するアルゴリズムを用いることで、集水域と河口付近の生態系の関係性を客観的に議論できる枠組みを提案する。これにより、陸域環境と沿岸生態系の関係性を明らかにし、その結果から陸域環境が沿岸生態系へ及ぼす影響評価モデルの条件について議論する。


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