| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-PC-344  (Poster presentation)

ヨシ群落以深に発達する抽水植物群落の復元に向けた植栽試験
Attempts of planting toward the restoration of emergent plants growing deeper areas than the reed community.

*速水裕樹((公財)伊豆沼財団), 藤本泰文((公財)伊豆沼財団), 上田紘司(農研機構・農環研), 森晃(千葉県生物多様性セ), 嶋田哲郎((公財)伊豆沼財団), 横山潤(山形大・理)
*Hiroki HAYAMI(Izunuma Foundation), Yasufumi FUJIMOTO(Izunuma Foundation), Koji UEDA(NIAES), Akira MORI(Chiba Biodiversity Center), Tetsuo SHIMADA(Izunuma Foundation), Jun YOKOYAMA(Faculty of Science,Yamagata U.)

 各地の湖沼の抽水植物群落は,高水位管理や干拓等によって減少しており,その復元事業が実施されてきた.しかし,事業対象はヨシ群落が中心で,ヨシ群落以深に分布するヒメガマ・マコモ等の群落復元に関する事業や研究例は少なかった.本研究では抽水植物群落の減少が著しい宮城県北部の伊豆沼にて,ヨシ以深に分布する抽水植物群落の復元に向けた植栽試験を行った.
 伊豆沼でヨシ群落以深に分布する6種の抽水植物について,砂底と泥底の2地区で試験した.底質に直接植え込む方法(直接法)と,水鳥による採食防止のため地下茎を粗朶で覆い縄で束ねた方法(粗朶法)で植栽した.また,泥底区の一部では,垣根状の網で囲い水鳥から保護した区画を作り植栽した(垣網法).2015年から2017年にかけて植栽し,その後の生残を最長18カ月まで調査した.
 試験した6種のうちヒメガマの生残率が最も高く,群落形成に至った.植栽方法の違いは生残率に影響し,初期は粗朶法で高かったが,長期的には粗朶を束ねた縄が分解したため,直接法の生残率が高かった.垣網法ではほぼ全ての株が生残し,対照的に直接法で植栽した株はオオハクチョウの採食を受け1日で消失したため,採食防止の重要性を示した.砂底区と泥底区の比較では,粗朶法では差を確認できなかったが,直接法では砂底区で生残率が高かった.これらの結果に冠水の有無は強く影響し,2016年以前と比べて秋の水位が上昇した2017年以降は,植物の生残率が低下した.冠水時に植物が水没して窒息もしくは流失した中,冠水時に浮く粗朶法ではこの間の生残率は高く,冠水の影響回避の重要性を示した.以上により,冠水と採食が伊豆沼における抽水植物の生育阻害要因であり,冠水しにくい場所を垣網等で保護することで,ヨシ群落以深にヒメガマ群落を復元できると考えた.


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