| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


シンポジウム S09-4  (Presentation in Symposium)

データ活用の可能性② 生物種の動態と保全策をつなぐ
Connecting large-scale monitoring and conservation implementation

*赤坂宗光(東京農工大学)
*Munemitsu AKASAKA(TUAT)

これまで多くの時間と労力が生物多様性のモニタリングに費やされてきた。このモニタリングによって得られたデータが如何に保全に貢献できるのか。という問いは保全に関わる多くの人にとって、重要な関心事であると考えられる。しかし、実際にモニタリングデータに基づいて保全策がとられているケースは多いとは言えない。本発表では、研究の成果が保全の現場で用いられないという「研究-実務間ギャップ」が生まれる背景を参照しつつ、モニタリングデータの取得が現場での保全実現に繋がらない理由を検討し、その解決策について議論する。特に、主要な理由の一つである、モニタリングがそもそも状態の把握を目的としているため、保全策の提示することを想定して実施されていないという点については、モニタリングサイトでの保全主体の活動に関わる情報や、対象地に生息する各生物種が晒されている脅威についての情報を、モニタリングデータと組み合わせることで、より具体的な保全に向けての情報提供ができることを、発表者らの分析結果を根拠に提案する。本発表で全ての解決策を網羅することはできないが、モニタリングデータの有効な利用のしかたについて考えるきっかけとしたい。


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