| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


シンポジウム S18-1  (Presentation in Symposium)

趣旨説明、及びこれまでの取り組み(政策)
Introduction, and the past activities (Policy)

*西田貴明(京都産業大学)
*Takaaki NISHIDA(Kyoto Sangyo Univ.)

2011年にシンポジウム「COP10後に生物多様性地域戦略に込められた期待と課題-地域の保全活動において必要な生態学と政策のつながり-」を開催して以降、企画者らは「生物多様性と政策」をキーワードとして様々なシンポジウムを企画してきた。そこでは、学会内外の研究者のみならず、幅広い分野の行政や企業における実務家に登壇いただき、社会経済活動における生物多様性の政策に関する議論を重ねてきた。そこで、2020年という節目の時期としてこれまでの振り返りと現状を改めて紹介いただき、様々な観点から生物多様性に関する政策の展開について議論を進めたい。その中で、この10年間における生物多様性の政策の一つの方向としては、社会・経済活動と生態系サービスのつながりを強化があげられる。2010年以降に注目を集めた政策テーマとしては、生物多様性の経済価値評価、自然資本会計、地域循環共生圏、グリーンインフラ・Eco-DRRなどがあげられる。これらの政策テーマは、いずれも幅広く社会において生態系サービスの活用を促すものであり、2010年のCOP10で大きな注目が集まった「経済社会における生物多様性の主流化」は、このような地域循環共生圏、グリーンインフラ・Eco-DRRなど、現在の様々な政策で進められている生態系サービスの活用に向けた動きを見ると、一定の進捗を得たとも捉えられる。このような社会経済活動と生態系サービスのつながりの強化に向けた取組は、生態系サービスの機能や経済価値の評価結果や、地域産業の連携や市民参画の動き、国内外の社会的情勢を踏まえながら進められてきた。2020年以降もこのような生態系サービスの活用に向けた取組は進むことが期待されるが、本シンポジウムにおいて関連する他の分野の動きを踏まえて、今後の見通しを議論したい。


日本生態学会