| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


自由集会 W13-4  (Workshop)

シチズンサイエンスの可能性と課題
The challenges and prospects of citizen science in Japan

*一方井祐子(東京大学), 小野英理(京都大学), 榎戸輝揚(京都大学)
*Yuko IKKATAI(The University of Tokyo), Eiri ONO(Kyoto Univ.), Teruaki ENOTO(Kyoto Univ.)

欧米等を中心にシチズンサイエンスが推進されている。シチズンサイエンスとは、研究者等の専門家と市民が協力して行う市民参加型のプロジェクトを意味する。シチズンサイエンス自体は古くから存在する活動である。その目的も、科学的な成果を求めるものから、地域課題を解決するためのものまでさまざまである。活動の主なアクターについても、研究者が主体的なものもあれば、市民が主体のものもある。近年のインターネット技術等の発達により、市民ボランティアへのクラウドソーシングで膨大な量の銀河の画像を分類するGalaxy Zooや、世界中の市民ボランティアに鳥の情報を提供するように呼び掛けてデータベースを作成するeBirdなど新たなプロジェクトも実施されている。日本でもインターネット技術を活用したいくつかのシチズンサイエンスのプロジェクトがすでにはじまり、成果を出しつつある。公的研究機関がシチズンサイエンスに注目し始めていることや、やや規模の大きなシチズンサイエンスが始まっていることも、シチズンサイエンスへの期待が高まっていることを示すものだろう。その一方で、日本でシチズンサイエンスを実施するにあたっての課題はまだ十分に整理されていない。これまで我々はKYOTOオープンサイエンス・ミートアップという活動を通じて、シチズンサイエンスのプロジェクトとネットワークを築き、情報収集を行ってきた。本発表では、日本のシチズンサイエンスやKYOTOオープンサイエンス・ミートアップの取り組みを紹介しながら、日本におけるシチズンサイエンスの今後の活用可能性と解決すべき課題について議論する。


日本生態学会