| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


一般講演(口頭発表) E01-03  (Oral presentation)

東京都武蔵野市の管理された都市林における樹木動態の分析
Analysis of tree dynamics in managed urban forest in Musashino City, Tokyo

*島田和則(森林総研多摩科学園)
*Kazunori SHIMADA(Tama For. Sci. Garden, FFPRI)

近年グリーンインフラの概念が拡がり、都市域においても生物多様性の保全や創出が求められ、都市空間において様々な形で既存の緑地保全や、新たな植樹により小規模な樹林がつくられることもある。しかし、それらの樹林の実態は様々で、外来種の混在、いびつな林分構造など、森林生態系としてみると必ずしも適切な状態にあるとは限らない。そこで小面積の都市林において、保全状況を評価することを目的に林分構造や樹木の動態を分析した。対象地は、ボランティア団体「武蔵野の森を育てる会」により保全活動が行われている武蔵野市境山野緑地(樹林部分約0.7ha)とした。ここで同会により2008年より行われている、成り立ちや管理状況が異なる林分3か所における方形区(100㎡)の、毎木調査データを分析に用いた。
既存の雑木林で管理を最小限としている部分では、下層に常緑樹が多く林内は暗いが、階層構造が維持され林分は安定していた。同じく既存の雑木林で、住宅に隣接し明るく維持するために、高木の剪定や下層木の間引きを行っている部分では、常に周囲からムクノキなど木本種の侵入があり、継続的管理による動的平衡状態で現況が維持されているものと考えられた。緑地の整備に伴い空地に植栽された若齢林分では、林冠がうっ閉するまで隣接林分からイヌシデ、イロハモミジの侵入が続き、これらの間引きによって適度な立木密度に誘導されていた。
都市林は保全管理において周辺住環境への配慮など難しい要素もある。しかし、現況とそこで求められている課題を把握し、それらに配慮した適切な保全目標をたてたうえで管理を行っていれば、都市域特有の問題を回避しながら、多様性・自然性と折り合いをつけて保全できると考えられた。


日本生態学会